アマゾンプライムビデオで、よく見ていなかった映画を見てるのですが
「グラントリノ」(2008)は最高のじいちゃん映画だと思いました。
・悲劇ともハッピーエンドともとれるのいいラスト
・痛みと邂逅というテーマ
・小津安二郎「東京物語」(1953)のような関係のねじれ
ラストはぜひ見ていただいてガツーンと衝撃を受けていただきたい。
かたや白人の朝鮮戦争の帰還兵。ヴェトナムの反共勢力として迫害されて逃れてきたモン族の人たちの関係性という設定。
皮肉屋で差別ネタの冗談バンバンの老人と素朴で内向的な若者の邂逅。
そしてそこに降りかかる受難と痛み、その痛みのほんとにイヤな感じ。
老人の教会を通しての罪と許しのモチーフ、若者の通過儀礼のモチーフが見事にマッチしています。
「遠くの親戚より近くの他人」ではないですが、心の通じ合わない近親者と親切にしてくれる他者という切り口は「東京物語」を想起させました。小津の厭世観に似た世界観を思い起こさせこれもまたイヤな部分はほんとにイヤな感じ。
この作品はイーストウッド版「東京物語」だと勝手に思っています。
イーストウッド監督作品を続けていくつか見て、あれつまんなかったな?と思うものも時々あるのですが、こちらは
タフガイとしてのイーストウッド(じいちゃん)、後悔と罪悪感のイーストウッド(じいちゃん)、優しさを見せるイーストウッド(じいちゃん)といったぐあいにほんと僕の好きなイーストウッドが見られて最高でした・・😌
ところで、吹き替え版の声優さんの「あ゛〜・・・あ゛〜・・・」っていうなり声(?)もこの映画の一面の苦悶感を象徴していてよかったです。
イタリア系の床屋さんの役が、「ゾディアック」や「プリズンブレイク」のクソ看守役でお馴染みのあの人で笑いました。(訂正 看守の役は違う人でした。似てる! 「ボディーオブプルーフ」の刑事役は彼ですね。
ラストも、以前映画館で見た後、唖然とし、金返せと思って叩きまくった「母と暮らせば」の460倍よかったです。