最初はベイリーの個人的な考え方の本かと思って買ったのですが、
かなり情報量も多いし、即興の音楽史ともいえる学究的な本でした。(インド音楽からバロック音楽・ジャズ・ロック・現代音楽 etc...)
印象的だったのは
第7章 ジャズ の項目。
スティーヴ・レイシー曰く(多くの大物と言えるプレイヤーたちと共演してきて)
私は、認められている人たちとではどうもうまくいかなかった。たんに彼らはパターンをすべて知っていたし、私は知らなかったというだけのことが原因ですが。
それをおぼえればいいということはわかっていましたが、ただそういう気になれなかったのです。食指が動かされなかったのです。どうしてあんな陳腐なパターンをおぼえようとしなければならないんだろうってね。
バド・パウエルがそういうのをやったのは15年も前のことで、パターンではなかったのです。しかし、だれかがそれを分析してシステムに組み入れてしまうと、ひとつの流派になって多くのプレイヤーがその流派に入っていく。でも私は、そこにいく前にみえてしまっていた。スリルはなくなってしまっていた。ジャズは即興演奏するためのものでもなんでもなくなっていたのです。
ー中略ー みんなシステム化された演奏にはあきあきしていたので、「クソくらえ」って思ったわけです。 (133〜134頁)
これは個人的にもよく思うところがあるので、即興は常に実践なのに、ジャズならジャズのシステム化された訓練があります。
人がその都度、場に応じてプレイしてたものを理論化するとなぜああも魅力がなくなるのか・・?
私はその勉強が単に「めんどくせぇな」とも思いましたし(笑)
クラシックの和声を習ったときも数やってきているし、そういうのはいいやと思い。
実際、モードとコードを覚えるくらいでもだいぶ即興できるのだし、それならロック・ポップスサイドのいまいち体系化されていない理論の方が役立ちますよね。
〝システム化〟自体は悪くなくとも、それが即興を馴染みにくいものにしてしまう面は大いにあります。
自分で講座を組むときには理論は最小限に、なるべく風のような存在に、やっているうちに理解できるようにと思っています。
- 作者: デレクベイリー,Derek Bailey,竹田賢一,斉藤栄一,木幡和枝
- 出版社/メーカー: 工作舎
- 発売日: 1981/11
- メディア: 単行本
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