アシュタンガヨガの日本での第一人者、ケン・ハラクマさんの著書です。
ハラクマさんの本は翻訳本も含めると、結構読んでいて。その中でもこの本『ヨガから始まる』が一番気に入っています。
アシュタンガヨガはかなりアクロバティックなポーズを取るというイメージが先行していますが、
古典「ヨーガ・スートラ」に忠実であろうという意識の強い流派だと思っています。
気になったことば
ヨガにおいては「無」の状態こそ豊穣であり、全ての源泉なのです。
エゴが消えた状態、それが「無」という状態なのです。
これは、ヨガだけに限らず、楽器の演奏などにもあてはまります。
たとえば、ヴァイオリニストであれば、練習を重ねるうちに、
演奏している「自分」という感覚が消えて、
体もヴァイオリンも一体となった感覚を覚えることがあるといいます。それが「無」の感覚です。 (66〜67頁から抜粋)
これは音楽やスポーツだと、フロー状態とか、ゾーンと呼ばれる状態です。
「自分」という感覚を越えて、それを意識しなくなるのが特徴ですね。
難易度の高いポーズをいくつも習得するのが必ずしもいいとは限りません。
シンプルなポーズひとつでも、そこに適切な呼吸を組み込んでいった方が、精神的な成長のスピードは速いのです。 (131頁)
こちらも、今までの経験でしっくりくる言葉です。
武術などにも通じる
いまちょうどチェスと武術の達人の本。ジョッシュ・ウェイツキン『習得への情熱』を読んでいるところですが、
まさに似たようなくだりが出てきて面白いです。
「千招あるをおそれず、一招熟するをおそれよ」という言葉が昔からあるようですが、ひとつのことを極めた方が
深い理解に達するというのは、武術でも経験で分かっていて語り継がれているようですね。
『習得への情熱』も今年に入って読んだ本で、一番印象深いので後でブログに書きたいところです・・!
ヨガの世界観
語り口が読みやすい本です。ヨーガスートラの解説を間接的にしてくれる内容になっているので
ヨーガスートラに少しでも触れておくと、理解が深まると思います。
結局のところヨガはあの経典から始まったんだなと思うと、感慨深いし、ヨガの世界観がはっきり見えてきます。
ヨガから始まる―心と体をひとつにする方法 (カルチャー・スタディーズ)
- 作者: ケン・ハラクマ
- 出版社/メーカー: 朝日出版社
- 発売日: 2008/07/15
- メディア: 単行本
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