クールの継承
まさにクールなジャズと言ってよいアルバム。
当時はマイルスの革新的な路線の影響下にあるんでしょうかね。
『処女航海』よりもさらにボサノヴァテイストが取り込まれています。(特に表題曲!)
にも関わらず、すごく作家性が前に出ているのが、この人の特徴です。
・コード的に瞬間瞬間の音響が複雑
・対してコードチェンジはそこまで多くない
・ブルース進行を基調にしている
と言った風に個人的には捉えています。
音響的には複雑でも、ミニマルで機能的なつくりをしています。
だから案外この人のソロフレーズは真似しやすいんですよ🤓 🎹
この人らしいフレーズ・モチーフを色々な曲で繰り返すのです。
後のジャズファンク路線の時代となんら変わらないハービー節がすでに出てくる。
それは上記の特徴の限られたコードチェンジという事にも関連づけられます。
もちろん、モードジャズの旗手の一人であるということにもむすびついてくる特性だと思います。
かつて90年代に、ラヴェルの協奏曲を収録したアルバムがあった・・ように思うんですが(妄想じゃなければ(笑))
何か、この人が好むのは分かるなと思ったのでした。コード複雑・機能的・モダンで客観的。しかしラヴェルはガンガンコードチェンジしますが(^^;;
隠れた名盤
このアルバム隠れた名盤だと思っていて長年愛聴しております。
さらっと流して聴くもよし、それこそ耳コピみたいに一緒に弾いても面白いアルバムだと思います。
特に Speak Like a Child はアレンジ面も含めて聴き込めます。どジャズでもない、どボサノヴァでもないスタイルですね。
一曲目のタイトルは、Riot (暴動)まさにカウンターカルチャーの時代、その後期の空気も出ています。
ハービーはいつもの冷静なプレイ。
さっきのラヴェルの話じゃないですが、ブルースが色濃く土台にあるのに、キッチリ弾くタイプの人なのでラフさ知らず。客観的に見ているように聴こえます。
音を切るタイミングも結構早いし。一つ一つ音がはまっていくような正確なプレイです。難しいことをサラッとやっています。
ベースが妙に粘る。まるでエレクトリックのフレッドレスベースのような
伸びのある粘り方をしていますね。
ファンキーと言ったら言い過ぎかもしれないけれど、なんか普通にウッドベースだと出ないニュアンスがありますね。こちらもファンの多いロン・カーター。
ミッキー・ローカーのドラムも切り方、音の立ち上がりと止めが正確です。なのでハービーとの同調したコンビネーションがあって。その中で要のベースが個性的な伸びの良さが生きるのかもしれません。
サラッとやってるよと見せておいて、作家性と時代の空気を感じさせるアルバムでした。
ところで
ピチカートファイブの『Overdose』(1994)の一曲目、「エアプレイン」の歌詞。「子供みたいに」のリフレイン。「子供みたいな話し方で♪」というフレーズはこっから引用してるんでしょうか。僕はそう思っていますけども!
オーヴァードーズ(大量服薬)といえば、たくさんのヒーロー・ヒロイン達が死んでいった。カウンターカルチャー斜陽期のキーワードです。
ジャケもいいすね🙆♂️⇩