悲劇なのか喜劇なのか分からないバランス
大学1年だった頃。夜中に3本だてで黒沢清特集をやっていました。日テレだったような気がします。実際は『回路』の宣伝用。
『cure』『ニンゲン合格』とあと一本は、相川翔さんの復讐もののVシネだった記憶あり。
それで、一気に黒沢ファンになりました。
さて、この映画の主演は西島秀俊。当時はマッチョじゃなく、ほっそい!
ヒョロヒョロです。完全に上のwiki がネタバレになってますが、ネタバレしても面白いってのが本当の映画ですよ。
昏睡から目覚めた青年。目覚めたはいいが家庭は崩壊してる・・というお話。
そして通過儀礼の話だと思います。
そのメンター役に役所広司。不法投棄請負いというダーティな仕事をしている
この人が、実質上彼の父親がわりになるのです。
この映画、一昨年の2018年末にNHKBSでやってたんです。大事な役の大杉蓮さんの亡くなる2〜3日前に放送されたのでより印象に残っています。
未だに実家のテレビのハードディスクに保存したままで。。
いい役者さんが出まくりです。
そして監督が多様する極端な演出と編集。シーンによっては極端なスピードになったり
視聴者が「へ!?」ってなる。ギャグにすら見える撮り方、編集です。
それで、ちょっとこの辛い話が軽くなる面もあります。
で、監督の好きなフランス映画仕込みのラストですが。18歳の僕は感動して泣いたんじゃないかな。
この映画のテーマのひとつにもなっている。西島-大杉の対立軸が、今見ると年齢を重ねてますから、大杉さん側にも感情移入できるので。
より、あーとかうーんとか思いながら見ました。
多分三回くらいは見ましたので今は泣かないですが、やっぱりこのトレイラーのようにバッハが似合うくらい。何か滑稽で美しい映画なんですよね。
監督が人の生き様について、ものすごく引いた視点を持ってるっていうのが分かる作品です。