最近慈悲の瞑想に取り組んでいるので、アルボムッレ・スマナサーラ著『現代人のための瞑想法ー役立つ初期仏教講話4』を読んでみました。
仏教では止(サマタ)観(ヴィッパッサナー)慈悲の瞑想が基本の3本立てになっています。初期仏教でも先日紹介したミンギャーリンポチェが帰依するチベット仏教(後期密教)でも変わりません。
この本では瞑想総論のような感じで色々な宗派の瞑想を分類した上で、初期仏教のおしえを説いています。とても大事だなと思ったのが以下のポイント
結果を重視せよ
お釈迦さまの教えは、あまり方法にこだわらないで、心を完成させるように努力しなさいということです。「どんな修行法がかっこいいか」と、方法にしがみつくのではなく、「どんな方法だと自分の心が成長していくのか」ということを気にするべきです。 ー79頁
手段に固執せず目的・結果を重視せよというお話です。これがこの本の全体に通ずるポイントだと思います。各種瞑想はその手段なのだと。つづいて
サマタ瞑想について
サマタ、というのは「落ちつく」という意味です。クール(cool)になる、冷静になること。すごく冷静に落ちついた状態になることです。
ー104頁。
サマタ瞑想というのはたくさんあります。言ってみれば、どんな方法でもよいのです。自分の心が落ちつくならば、それはサマタ瞑想です。
ー105頁。
ただし、
仏教は心理学的にアプローチするので、心を落ちつかせるためになんでもよい、という立場はとりません。 ー107頁。
なので呼吸や慈悲を対象にしたり、無常観・不浄観などを行うのだと言います。
こういった訓練に習熟していくにつれ、サマーディ(三昧、瞑想による喜悦)を経験して、離欲の心が自分の中に芽生える。このあたり「ヨーガスートラ」を思い出します。 (個人的にはヨーガスートラはかなり初期仏教と似ているなと思うことがあります。「神」や「真我」に裏付けされている違いはありますが、兄弟のようです。)
ヴィパッサナー瞑想
サマタ瞑想が〝一時的〟なものであるのに対してヴィパッサナーは持続的で
ものごとにとら執われないようにすること、すなわち遠離がポイントです。欲から遠離するのです。離れること、執着しないことがメインテーマです。 ー130頁
「ヴィパッサナー瞑想」というのは、事実でとめて感情を生まない方法です。 —134頁
「ヴィパッサナー瞑想」を実践する人は、とにかく離します。あれもこれも、なんでもかんでも離してしまいます。究極的には生きていたいという気持ちさえも捨ててしまいます。それが最終的な悟りです。 ー140頁
この辺は、『手放す生き方』といっしょですね。生命欲の話もヨーガスートラに出てきます。(スートラの2.9参照)
そして具体的な方法、この本では慈悲の瞑想とヴィパッサナーの基礎が載っています。今までバラバラに拾ってきた瞑想の技術のまとめという感じで読めた一冊でした。
現代人のための瞑想法―役立つ初期仏教法話〈4〉 (サンガ新書)
- 作者: アルボムッレスマナサーラ
- 出版社/メーカー: サンガ
- 発売日: 2007/07/25
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